精油とは?
女性雑誌の美容特集で、「精油」という言葉を見かけたことがあるかと思います。精油とは、アロマテラピーで使われる、小さな褐色の瓶に入ったオイルのこと。「エッセンシャルオイル」という呼ばれ方をすることもあります。
精油の正体は、植物の葉や茎、根、樹皮、さらに花びらや果実の皮に含まれている芳香性の成分。美容成分がぎっしり入っており、化粧水に加えることで高い美容効果が期待できるのです。なお、植物の種類によって、精油の抽出方法は異なります。
●水蒸気蒸留
植物を入れた容器の中に蒸気を通すことで、植物から出た精油と蒸気が混ざり合った状態になります。これを集めて冷やすことで、精油と水とに分離。そこから精油だけを取り出します。
●圧搾
熱を加えずにフルーツの果皮をしぼり、精油を取り出します。たとえば、レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの精油は、この方法を使って抽出します。
●冷浸法
たとえばローズやジャスミンなど、植物によっては水蒸気蒸留で精油を取り出せないものもあります。そうした場合に使われるのがこの冷浸法。ガラスのトレイ に脂肪分を塗り、そこに花びらを乗せて香りの成分を移します。これを繰り返すことによってできた脂肪分をアルコールに溶かし、真空状態で蒸発させることに よって精油を取り出します。
●溶剤抽出
石油系の溶媒を用いて、植物の精油を取り出す方法です。いわば溶媒に植物を溶かすということですから、厳密には「100%精油」とはいえません。また、こ の方法で得られた精油には、使用した溶剤が残っている場合も多く、アレルギー症状の原因になる危険性もあります。
精油を使った手づくり化粧水
植物から抽出した精油を配合した化粧水も、最近では特に数多く出回るようになりました。精油は香り(アロマ)も楽しむことができるので、化粧水でスキンケアをしながら精神をリラックスさせることができるというのも、人気を集めているようです。
ただし注意したいのが、市販品のなかには、精油の他にも余計な成分が含まれている化粧水も多いということ。余計な添加物が入っていない、シンプルで安心な精油化粧水を使いたいなら、手づくりすることをおすすめします。
【用意するもの】
・グリセリン
3価アルコールの一種で、保湿には欠かせない成分。薬局で簡単に入手でき、500mlで1,000円以下と、値段も手ごろです。
・精製水
蒸留や濾過、イオン交換などの手法で不純物を取り除かれた水です。こちらも、薬局で500ml1,000円前後で手に入ります。
・精油(エッセンシャルオイル)
雑貨屋で手に入ります。せっかく安心なものを手づくりするのですから、必ず100%のものを選ぶようにしましょう。
【手づくり化粧水の基本のつくり方】
① ガラスの容器などに、グリセリン5ml(小さじ1杯)と精油1滴を入れ、よく混ぜ合わせます。
② 精製水45mlを加えて混ぜます。
③ 保存用のガラスビンに移します。
④ 使うときは、よく振って成分が十分に混ざるようにしましょう。
肌の悩みに合わせた使い分け方
植物の種類によって、精油の作用は大きく異なります。手づくり化粧水に精油を使う場合には、自分の肌悩みに合わせて植物を選ぶようにしましょう。ここでは、それぞれの肌悩みに効果的な植物を紹介します。
【乾燥肌】
カモミール、ゼラニウム、ラベンダー、サンダルウッド、ベチバー
【オイリー肌】
ベルガモット、シダーウッド、カモミール、サイプレス、ゼラニウム、ラベンダー、ローズマリー、レモン、イランイラン
【敏感肌】
カモミール、ゼラニウム、ネロリ、ローズウッド、メリッサ
【混合肌】
カモミール、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジスイート、ローズマリー
【普通肌】
ラベンダー、ネロリ、ローズマリー、カモミール、ゼラニウム
【アンチエイジング】
フランキンセンス、ラベンダー、ミルラ、ネロリ、ベンゾイン、サンダルウッド
※たとえばベルガモットやレモン、メリッサなど、化粧水を肌につけた後に直射日光に当たると、なかにはシミができてしまうものもあります。そのような事態を避けるためにも、手づくり化粧水は夜用として使用するほうがいいでしょう。
ハーブを使った化粧水
ハーブとは?
アロマテラピーやガーデニングでおなじみのハーブですが、そもそもどういうものかご存じでしょうか。ハーブの語源は、ラテン語の”Herba”(ヘルバ)。大まかに分類するならば、「香り」に特徴があり、なおかつ利用価値のある植物の総称です。
さらにハーブは、薬効がある成分を含む「薬草」と、料理用の香辛料として使われる「香草」や「香味用植物」に分けることができます。ここでは、「薬草」について説明していきます。
ハーブの効能はさまざま。代表的なものとしては、たとえば次のような効能が知られています。
●老化防止(アンチエイジング)
ハーブには、老化の進行をくい止める作用をもつ「抗酸化成分」が含まれており、老化防止はハーブの代用的な効能といえます。なおハーブに含まれる抗酸化成 分には、ビタミンC、E、P、カロチン、亜鉛、セレン、SOD(活性酸素除去酵素)、ポリフェノール、クエン酸などがあります。
老化防止効果をもつ代表的なハーブといえばローズマリー。そのため、肌の若返り効果を期待して、化粧水にローズマリーのエキスを加えて使用している方も多いようです。
●免疫力アップ
免疫力とは、有害物質が体内に侵入してきたときに、自分自身を防御する自然治癒力のこと。ハーブのなかには、細菌やウイルスへの抵抗力をつけたり、殺菌したりする働きをもつものもあります。
免疫力アップの効果が、結果的には体の不調を改善することにもつながるとあって、ハーブは数多くの薬にも薬効成分として配合されています。
ハーブと美容の関係
老化防止効果や殺菌効果など、ハーブには肌にとっても有益な作用が期待されるため、化粧水の成分としても注目を集めています。
なかでも人気があるのは、ハーブを使った手づくり化粧水。市販の化粧水とは違って、気になる添加物を除いた化粧水をつくれるというのが最大 の魅力。一口にハーブといっても、その効果は植物によって異なります。自分の肌の悩みに合うハーブを選んで、化粧水づくりに挑戦してみてはいかがでしょう か。
【ハーブを使った化粧水のつくり方】
② フレッシュハーブを小さめにカットして、容器に入れます。
② ①に熱湯を注ぎます。水とハーブの比率は、容積比で1:1。180ccの熱湯に対して、ハーブが容器に一杯になるようにします。なお、ドライハーブを使用する場合は、熱湯:ハーブが1:0.3です。
③ 10~15分ほど静置します。
④ 冷めたら、茶こしやガーゼを使ってハーブをこしましょう。
⑤ 好きな瓶に移せば完成です。
手づくり化粧水には保存料が入っていませんので、長期保存はできません。つくった日付を記入したラベルシールを貼っておき、冷蔵庫保存で1週間以内に使い切るようにしましょう。また肌に合わない場合は、すみやかに使用を止めましょう。
手づくり化粧水に使えるハーブ
代表的なハーブには、それぞれ次のような効能があります。肌質や肌の状態と相談しながら、どのハーブを使って化粧水をつくるか検討しましょう。
・ラベンダー
肌の新陳代謝を促進する作用があるため、日焼けやニキビなど、炎症系のトラブル解消が期待できます。
・ローズ
肌の毛穴を引き締め、肌のキメを整えます。
・カモミール
保湿効果が高く、乾燥肌や敏感肌をなめらかにケアしてくれます。
・マリーゴールド、ローズマリー
皮膚粘膜の保護や抗菌作用があり、肌が赤くただれたり、敏感になったりしているときにおすすめのハーブです。
・レモンバーム
小ジワを薄くする効果が期待できます。
・イタリアンパセリ
シミやソバカスを薄くして、若返りが期待できます。